奈良時代の食事を再現した万葉食体験記!浜松市万葉の森公園にある万葉亭の感想

静岡県浜松市浜北区に奈良時代の万葉集をテーマにした公園があります。それが万葉の森公園です。

■万葉の森公園の場所の住所■

浜松市浜北区平口5051−1

>>万葉の森公園の場所の地図

>>万葉の森公園の詳細 | 浜松市

実はこの万葉の森公園の中に万葉亭という施設があり、そこで奈良時代の食事を再現した万葉食を食べることができます。昔の食事とはいったいどんなものだったのか?完全予約制でなかなかハードル高そうな食事ですが、今回チャレンジしてきました!

奈良時代とはいつ?

奈良時代の期間とは、一般的にいうと和銅3年(710)~延暦13(794)までの84年間を指します。また別の考えがあって、和銅3年(710)~延暦3年(784)までという説もあります。

この奈良時代の期間はいつからいつまで?という考えは、ひとつの学説ではないのですが、まあ、だいたいこのくらいの時代。

次に奈良時代はいろんな出来事がありましたが、そのうちのひとつに万葉集(まんようしゅう)が編集されたというのがあります。たぶん、あなたも教科書で習った記憶がある万葉集。

万葉集とは簡単にいうと、古代の和歌を4500首収録した和歌集のこと。期間は飛鳥時代(592~710)、奈良時代(710~794)。この間に詠まれた和歌・4500首を編集したのが万葉集です。

この万葉集の特徴は、著名な歌人、宮廷人の生活だけではなく、地方の農民の素朴な感情を表した作品も多く収められており、中には現代人の心に訴える優れた歌も多くみられます。そして食べ物のことを詠んでいる和歌もチラホラあり、それらと残された文献をもとに奈良時代の食事を再現したのが万葉食です。

万葉の森公園

万葉の森公園は、公園というより庭園というのが私の感想です。庭園内には、いろんな植物があり、歌に詠まれているものもあります。

こちらは、たまかづら(玉葛)。

玉葛 花のみ咲きて 成らざるは 誰が恋にあらめ 吾は恋ひ思ふを

この歌に詠まれている玉葛とはいったいどんな植物なのか?その実物を見れるのが万葉公園の醍醐味。もちろん、季節が違い咲いてない植物、また絶滅(したであろう)植物もあるんでしょうね。万葉集に見られる植物全てあるわけではないのでしょうが、ここでは多くの植物を鑑賞できます。

では万葉食

ではメインの万葉食を頂きます。場所は公園内にある万葉亭という施設。団体客も受け付けており最大で40名収容できる施設です。

まずは貴族の万葉食春の膳。化学調味料はもちろん使わず、当時の調味料(塩、酢など)を使い、極力、当時の味を再現してます。お値段は1500円。

個人的に驚いたのが万葉植物の揚げ物。奈良時代に揚げ物があったとは…スタッフの方いわく、奈良時代はゴマ油を使用していたとのこと。なたね油などではないんですね。内容は次の通り。

  • あふひ【フユアオイ】
  • こも【マコモダケ】
  • ちち【ギンナン】
  • うはぎ【ヨメナ】
  • むぐら【ヤブカラシ】
  • せり
  • お茶の芽

食べてみた感想ですが、今でいう天ぷらというより、野菜の素揚げと表現すればわかりやすいかと。また萬葉亭では、これら揚げ物はそのまま食べることになっており、今みたいに天つゆはありません。素材をそのまま味わいます。

これは古代の乳製品である蘇(そ)という食べ物。製法を簡単にいうと、牛乳を煮詰めて約10分の1ほどの固形にした食べ物です。コロナ禍で全国的に緊急事態宣言が出されていた令和二年(2020)春、とある地域が学校給食の牛乳が余り、ネットで購入を呼びかけた事がありました。

外出自粛で家から出れず、蘇を作ってみようという家庭が増え、一時的なブームになりニュースにもなりましたが、その蘇というのがこの古代の乳製品なんですね。食べてみた感想ですが、現代のチーズほど濃厚ではなく、どちらかというとマイルドなミルクキャラメル?という感じでした。

また貴族の膳には数種類のお菓子がありました。木菓子(木のみといったほうがわかりやすいかも)、干し柿、唐菓子、蘇。ここで気になる唐菓子とは、小麦粉を練り、縄状にして油で揚げたものです。固い油菓子といった感じでしょうか。唐菓子という名前の通り、唐の国(現在の中国)から伝わったお菓子なのでしょう。

あと貴族の膳には、糟湯酒(かすゆざけ)も付きます。これは貴族が飲む酒を作る過程で出た酒粕をお湯で溶かしたもの。当時の下級役人達の楽しみのひとつだったと伝わります。飲んでみた感想は現代でいう甘酒みたいな感じです。生姜(しょうが)も薬味で付いてました。

これは晩秋の膳

これは万葉食(晩秋の膳)。万葉食は季節によって内容が少し変わります。この変化も嬉しいもので、リピーターになる理由のひとつです。

庶民の膳

次に庶民の膳もチェック!貴族の膳に比べるとかなり質素ですね。お値段は600円。

個人的に気になったのが、黍(きび)のご飯。現代の私達もよく使う五穀豊穣(ごこくほうじょう)というフレーズ。この五穀というのはいろんな説がありますが、米・麦・粟・豆・黍(きび)が五穀という説もあります。桃太郎のきびだんごのきび?なのかな?

食べてみた感想はモチモチ感が強く、風味や味はインパクト弱いですね。逆に言うと、個性的な味ではないので食べやすいと思います。

日本最古のお茶

万葉亭では3種類の万葉食が楽しめますが、どれも共通しているのがお茶。これも古代のお茶を再現したもので、日本で一番古いお茶といわれている碁石茶(ごいしちゃ)です。成長した緑茶を乳酸発酵したもので、原材料は緑茶と同じ。だから子どもでも飲むことができます。

私の感想

私の万葉食の感想ですが、奈良時代の再現された万葉食はここでしか食べることができないので、古代の食事に興味がある人は是非、チェックしてみることをオススメします。味ですが、化学調味料に慣れている現代人にとっては、塩、醤(ひしお:古代醤油のもろみみたいなもの)、酢、くらいの味付けだと、正直、物足りない感じもします。

でも、これが素材の味わいを十分に引き出した古代食の醍醐味でもあるんですよね。あと男の私的にはボリュームは少なめでした。なのでたくさん食べたい方は、一番品数が多い、貴族の万葉食(1500円)をオーダーするのが良いでしょう。万葉亭での予約は原則、1周間前から必要なのでお早めに!

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