よくある質問で江戸時代に1両は現在何円くらいの価値?というのがあります。結論からいうと、この質問の答えは難しいのです。
その理由は江戸時代は265年間あり、初期、中期、後期の貨幣価値や物の値段は同じではなく変動しているからです。特によく例題に出される米の価値も現在と江戸時代ではまったく違います。なぜなら収穫量、労力、物流コストなど現代のほうが米の価値は低いからです。
では江戸時代の価値と現代の価値は比較できないのか?というと、そうでもなく、いろんな切り口でおおよその価値を知ることができます。今回はそんな価値の換算方法をいくつかお伝えします。
かけそばで換算してみた
そばは18世紀(1701~1800)初頭には庶民が屋台で食べることができていたと考えられます。これは江戸時代中期です。その頃の値段はかけそばで16文です。そこで現在のかけそばの値段はいくらなのか調べてみました。
チェーン店の飲食店や個人経営など幅はありますがおおよそ400円前後(2024年7月現在)です。これを単純に16で割ると25円です。この換算方だと1文=25円になります。
日本銀行金融研究所貨幣博物館の公式サイトでは、1両を仮に6,500文で換算しています。これでいくと1両は162,500円になります。
小判の価値はいくら?
次に時代劇でよく出る小判の価値を調べてみます。でも結論からいうと、小判1枚は何円といういくらなのか換算は難しいのです。その理由は江戸時代の小判は金の含有量が時代によって大きく違うから。でも逆に金の含有量から現代の価値を調べることもできます。
まずは金1gは何円の価値があるのか?田中貴金属工業公式サイトを見ると金1g=13,136円です。(2024年7月29日)
次に江戸初期に作られた慶長小判の金の含有量は15.2gなので単純にかけてみると199,667円になります。およそ20万です。しかし幕末の万延小判は金の含有量が1.9gなので24,958円です。一口に小判といっても金の含有量が時代によって違うので価値も変わります。
他の値段はどうなの?
歴史人2020年8月号・江戸庶民の衣食住に1800年頃のモノの値段一覧表がありました。これを仮に1文=25円で換算すると以下のようになります。
品 | 価格 | 円に換算 |
そば | 16文 | 320円 |
串だんご | 4文 | 100円 |
酒(一合) | 20文 | 500円 |
鰻の蒲焼き | 200文 | 5,000円 |
米(一升) | 150文 | 3,750円 |
大根(一本) | 8文 | 200円 |
キジ(一羽) | 300文 | 7,500円 |
黒砂糖(一斤) | 120文 | 3,000円 |
サバ(1枚) | 300文 | 7,500円 |
そば、串だんご、大根など現在と価値が近いものがあれば、米、サバなどはかなり高価だったことがわかります。あくまで一例ということで。
私の感想
なかなか難しい江戸時代と令和のオカネの価値比べ。今回調べてみて思った感想は、江戸時代も265年あってモノの値段が変わっていたこと。また小判の金の含有量も違うことなど、江戸時代を通して常に変わっているというのが印象的でした。