愛知県西尾市主催のはず夢ウォークに参加してきました。これは西尾市南部の海岸線を歩くイベントです。なぜ今回参加したのかというと、名古屋城築城の残石が残る前島に渡ることができたからです。
西三河沿岸は採石場だった
名古屋城は20の大名家が築城に携わりました。それぞれ石垣の工事担当区域が指定されており、各大名は石を切り出して運び、組み上げるというのを自腹で負担し工事したのです。そこで良質の石が西三河沿岸から取れるということで、前島周辺にも残石が残っています。
島に渡る!
では早速前島へ。前島の南側は干潮(かんちょう:潮が引くこと)時にトンボロ干潟と呼ばれる砂浜の道が現れます。だからいつでも渡れるわけではなく干潮時を狙って渡ります。
この日は7月下旬。水温も気持ちよく水もキレイなのでそのまま泳ぎたい気分♪
トンボロ干潟を歩いていると何やら砂浜からニョキニョキ管が出ています。きっと貝の管ですね。この辺はアサリの養殖が盛んですがアサリ?なのだろうか?
前島の目の前まで来ると…まだ完全に潮が引いてなく浜辺が出ていませんでした。でも水は数センチですしそのまま渡ります。
石の割り方
上陸して海岸線を歩いていると…ありました!矢穴石です。巨石をいくつかに切り分けて運ぶために石を割る矢穴の跡が残っています。この石をどうやって割っていくのか?そのイメージがこちらです。
(1)穴を開ける
石を割りたいラインに沿ってセットウとノミで穴を開けていきます。
(2)杭を打つ
空いた矢穴に『ヤ』を打ち込んでさらに叩きます。
(3)割れるか残るか
石の『目』に沿っていると石が割れ、その断面に矢穴の列が残ります。もし『目』に沿っていなければ石は割れず、表面に矢穴の跡だけが残ります。また何らかの理由で石の切り出し作業が中止された時も矢穴の残る石が放置されるというワケです。
いろんな矢穴石
前島を海岸線に沿ってぐるりと一周してみます。すると石に矢穴(やあな)とう穴を等間隔で開けて割り出した石を見ることができます。これは慶長十五年(1610)の名古屋城築城時に切り出された石です。石垣がほぼ完成した後、もう石を運ぶ必要がないのでその場に残されました。
これは矢穴を一列に開けようとしていた時に工事にストップがかかり、中断された石でしょう。2つだけの矢穴は今でもはっきりと残っています。
深い矢穴が並ぶ中、浅いものが1つありそこから矢穴が掘られていません。これも作業途中で中断された石ですね。
#名古屋城 は #天下普請 といって20の大名家が築城に携わった城。各大名家それぞれ工事担当区域があり、自分たちで石を切り出し運んで組み上げる。愛知県 #西尾市 沿岸は #幡豆石 といって #石垣 に適した石が採れたそうな。#前島 には今でも矢穴の残った石を見ることができます。 pic.twitter.com/kuVGznmm3z
— 愛知戦国史跡ナビゲ-タ-・みかわのひで (@mikawanohide) July 22, 2024
所要時間と私の感想
前島は海岸線をぐるっと周り矢穴石をたくさん撮って1時間15分ほど。私の感想ですが城の石垣が好きな方はぜひ、オススメのスポットだと思います。その理由は名古屋城の石を切り出した現場だからです。ここから船で運んだと思うと、当時の苦労が想像できます。
西尾市の前島は普段立入禁止なので、西尾市が主催するはず夢ウォークなどのイベントで訪れるとよいと思います。